手鍋焙煎×Artisan:必要ないと思いつつ、データを取ってみたら見えたこと

焙煎・ロースト

自宅で手鍋焙煎を楽しんでいる方なら、一度は「温度管理って本当に必要なの?」と疑問に思ったことがあるのではないでしょうか?

手鍋焙煎はなによりお手軽に、五感を頼りに火加減や豆の変化を感じながら行うもの。正直、温度計や専用ソフトを使うのは大げさに感じる人も多いでしょう。

私もそう思っていました。
管理をするにしても、簡易的な温度計で温度を測るぐらいで十分ではないかと思っていました。
しかし、好奇心に駆られて焙煎管理ソフト「Artisan」を導入し、実際に温度データを取りながら焙煎してみたら、これまで気づかなかった新しい発見がありました。

Artisanは無料で使える焙煎管理ソフトで、温度のリアルタイムグラフ化やデータ記録ができるのが特徴です。導入も比較的簡単で、温度センサーをPCに接続し、ソフトの基本設定を行うだけで使い始められます。

この記事では、「手鍋焙煎でそこまでの温度管理は必要ないのでは?」という前提のもと、好奇心でデータを取ってみた体験談を正直にお伝えします。

手鍋焙煎の奥深さや焙煎の見えない部分を知りたい方に、ぜひ読んでほしい内容です。

はじめに:手鍋焙煎で温度管理は本当に必要?

家庭で手鍋焙煎を楽しんでいる人の多くは、「感覚で十分」と感じているのではないでしょうか。私もそう思っていました。
実際、火加減や豆の色、ハゼの音、香りを頼りに焙煎をコントロールするのが手鍋焙煎の醍醐味ですから。

しかし、今回は単純な好奇心から、温度計を使い、焙煎管理ソフト「Artisan」を導入してみました。
「手鍋焙煎に温度管理は本当に必要ないのか?」「データを取ることで何が見えるのか?」を試したかったからです。

使用機材とセットアップ

今回使用した機材は以下の通りです。

  • K型熱電対センサー(温度計)
  • デジタル温度計(Mastech MS6514 ※CENTER 306などでも可)
  • 焙煎管理ソフト「Artisan」
  • 手鍋(家庭用鍋を使用)
  • ガスコンロ
  • パソコン(Artisanインストール用)

手鍋焙煎に熱電対センサーを取り付ける際は、豆の近くにセンサーを設置し、正確な豆温度を測るよう工夫しました。
火加減や鍋の持ち方で温度が変わるため、センサー位置は毎回確認が必要です。

ArtisanとMS6514の導入方法については、別記事で詳しく説明しています。
Artisan×MS6514の導入と設定方法を徹底解説!焙煎の温度管理入門

実際に使ってみた感想とデータの変化

Artisanを使うと、焙煎中の温度変化がリアルタイムでグラフ化されます。
これまで感覚で「ちょっと火を強く」「もう少し煎る」など調整していたのが、数値として視覚化されるのは面白い体験でした。

特に印象的だったのは、

  • 火加減の変化が豆の温度にどう影響するかが一目瞭然で分かること
  • 「第1ハゼ」のタイミングや温度が数値で確認できること
  • 温度の上昇カーブの緩急を細かく観察できること

これらは、ただ感覚に頼っていた頃には得られなかった新しい発見です。

手鍋焙煎で温度管理は必要か?

正直に言うと、手鍋焙煎では温度管理は必須ではないと思っています。
鍋の形状や火力、手の動きで焙煎環境が大きく変わるため、温度だけに頼っても完全な再現は難しいかんと思っています。

しかし、温度データを取ることで、自分の感覚の裏付けが取れたり、焙煎の傾向を理解できたりするメリットもあります。
特に、これから焙煎技術を本格的に学びたい方や、将来的に焙煎販売を考えている方には役立つ情報となるかなと。

補足ですが、私自身の環境ではROR(焙煎中の温度上昇率)のグラフがかなりぶれてしまいます。
センサー自体のせいなのか、取り付け方なのかは原因ははっきりしませんが、その辺りは今後改良が必要だと思っています。

こんな人におすすめしたい

個人的にこんな人にはおすすめかなと、

  • 手鍋焙煎をしていて味のブレに悩んでいる人
  • 数値を使って焙煎プロセスを理解したい人
  • 趣味としてデータを使った分析を楽しみたい人
  • 将来的に焙煎機を使った販売を目指している人
  • 焙煎の記録を手動で行っていたが、データで管理したい人

まとめ:必要ないかもけど、やってみたら見える世界があった

手鍋焙煎で温度管理をすることは、一般的には「不要」だと思います。
強いて言えば、簡易的な温度計で温度を測るだけで十分なのかなと思っています。

それでも、私の個人的な感想ですが、リアルタイムでデータをとって焙煎するのは単純に面白い。
それに、その都度データを取得しそれぞれを見比べることによって色々と改善できたりするので、データを取得することはありだと考えています。

あと、パソコンにデータを残せるというのが何よりもいいなと思っています。
これまで、ノートに焙煎のログをメモしていたのですが、それをしなくても良くなったのは嬉しいですね。

この記事が、同じように手鍋焙煎を楽しむ方や、焙煎の新しい一歩を踏み出したい方の参考になれば嬉しいです。

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